GTMとは、主要なインターネット広告の媒体コンバージョン計測タグをGoogleタグマネージャー(以下略称、GTM)といいます。
GTMを活用することで、毎回HTMLのタグの追加や削除をする手間が省けるため便利です。
しかし
- GTMの基本的な使い方は?
- 最初にやっておくべき設定を知りたい!
- よくある失敗と解決する方法を教えて
上記のように頭を抱えている広告主様が多いようです。
そこで、本記事では、GTMの基本的な使い方から最初にやっておくべき設定、よくある失敗と解決する方法がわかる記事になっています。
本記事では、3分で読めて、設定は5分で可能です。ぜひ最後までお読みください。
【GTMの大前提】知っておくべきルール
まず、大前提として既存で存在している「すべてのページ」などのルールを使わないようにしましょう。
なぜなら、思いがけないミスを引き起こす場合があるからです。
具体例として、以下の事例が挙げられます。
GTMには以下のような初期設定で含まれています。
YTM:【削除不可】コンテナ名_コンテナID **
基本的に、上記の表現ですべてのページがヒットします。
- サイトA -> サイトAのタグマネージャー
- サイトB -> サイトBのタグマネージャー
それぞれが正しく設定されていれば問題ありません。
しかし、下記のように誤った指定をしてしまったケースでは問題です。
- サイトA -> サイトAのタグマネージャー
- サイトB -> サイトAのタグマネージャー
標準設定の場合、ワイルドカードでドメインを問わず、言葉通り「すべてのページ」がヒットしてしまうため、「サイトB」にアクセスしても「サイトAのタグマネージャのタグ」が発火してしまいます。
GTMの設定ミスによる悪影響
この設置ミスが発生すると、Google Analyticsなどのアクセス解析データは
- サイトAのセッションは急増
- サイトBはトラッキングデータなし
という状態は避けられません。
解析データがおかしくなるだけではなく以下のような問題も発生します。
多くのサイトに、訪問ユーザを広告で追跡する”リマーケティング”タグが埋め込まれています。
つまり、アクセス解析のデータがおかしくなるだけにとどまらず
サイトA
- ターゲットでもない顧客を広告費を使う
- CPA悪化のリスクが増加
サイトB
- 本来リマーケティングで追えた見込み顧客を逃す
という事態に陥ります。
上記の重大ミスを防止するための設定方法
ドメイン名を指定したルール作成をオススメします。
上記のタグで、サブドメインなどのページにミスが設置されない限り、影響が出なくなります。
サブドメインまで固定する場合は、以下のタグで設定しましょう。
上記のようなタグの設定をしましょう。
計測タグの設置に関する問題
サブドメインが変わる、消えるURLに関する問題
仮に広告主から「URLにhttps://example.comを含むすべてのページにこの計測タグを設定してください」と依頼を受けたとします。
その際には、以下の3パターンで考えましょう。
- https://www.example.comのように、www付きでも全く同じページ内容が表示されている
- http://www.example.comのように、httpでもhttpsでも全く同じページ内容が表示されている
- https://form.example.comのような別のサブドメインが存在していた
トラブルを防ぐために確認すべきこと
箇条書きでトラブルを防ぐために確認すべきことを羅列するので、問題別に解消していきましょう。
- httpでアクセスがあった際に計測タグを発火させない要件の有無
- wwwのようなサブドメインがURLに入った際に、タグを発火させないという要件の有無
- DNSdumpster.comで対象のドメインに未知のサブドメインがないか調査する
ほとんどの事例では「URLにexample.comを含むすべてのページに設定」を行えば、問題を解消できます。
また、GTMであれば、「Page Hostnameに●●●を含む」と設定することでWebサイトにアクセスがあった際に計測タグの発火を防ぐことが可能です。
複数の広告媒体運用なら『GTMタグマネージャー』を使うべき! 『GTMの概要と導入理由を分かりやすく解説』の記事で詳しく解説しています。
複数の広告媒体運用なら『GTMタグマネージャー』を使うべき!GTMの概要と導入理由を分かりやすく解説
DNSdumpster.comの使い方
使い方は、DNSdumpster.comで表示されるページに「qitta.com」のような調査対象のドメインを入力しましょう。
その際は、「https://」のようなプロトコル名や「www.」のようなサブドメイン、末尾のスラッシュ記号などは省いて入力する必要があります。
/index.htmlが消える問題
この問題は「example.com/aboutus/index.html」のページにGTM計測タグを設定する際に発生します。
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- 実際にブラウザから/index.htmlを抜いたURLでアクセスしてみましょう。
- 入力したままのURLで同じページ内容が表示されないか
- .htmlの消去、.phpや.htmへの変更をしてどのように表示されるか
- Google Analyticsなどの計測ツールで実際に起きているURLのパターンを確かめる
タグの発火条件には必要ない指定を極力避けたいので、下記のようにタグの発火条件として正規表現を設定すれば、多くの状況に対応可能です。
example\.com\/aboutus\/(index(\..+)?)?(\?.*)?(#.*)?$
スマートフォン版ページで起こる問題
次に、広告主から「URLにexample.com/product/を含む全ページに、GTM計測タグを設定してください」という依頼を受けたとしましょう。
この場合に、問題の原因として考えられるのは以下のパターンです。
- スマートフォンでアクセスした際に、モバイル専用ページのexample.com/sp/product/にリダイレクトが発生している
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- パソコンのブラウザでモバイル端末のシミュレーションをし、当該ページを見てみる
- Google Analyticsやサイトマップでサイト内のページの詳細を確認可能なら、/product/を含むページにおいてモバイル専用URLかもしれないページの有無をチェックする
ただし、依頼自体の問題ではなく「パソコンからサイトを見ている場合だけ、計測タグを発火させたい」という要求がある場合も考えられますので、修正の前にしっかり確認しておきましょう。
設置依頼があったページとプロモーションで使うページが違っている問題
続いては、「会員登録をコンバージョンとしたプロモーションなので、サンクスページのexample.com/cart/completeに計測タグを設定してほしい」という依頼についてです。
これは、会員登録後のサンクスページはexample.com/regist/completeであるのに、商品注文後のサンクスページであるexample.com/cart/completeを指定してきたミスです。
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- URLに違和感があると思ったら、Google Analyticsの「すべてのページ」レポート(行動>サイトコンテンツ>すべてのページ)から「thank」や「complete」といった言葉で調べて、本当のサンクスページがないか探す
- 依頼を受けたURLに間違いがないか確認をとる
- GTM計測タグを設定後、依頼者にテストで購入操作をしてもらい、正しく計測されているかチェックしてもらう
このようなミスは常に起こり得ますが、単純なミスほど当人は気づきにくいものです。
具体的に考えうる可能性をいくつか示した上で、そのどれかではないかを質問してみましょう。
プロモーションで使うページに別の種類がある問題
同じく、「会員登録をコンバージョンとしたプロモーションなので、サンクスページのexample.com/regist/normal_completeに計測タグを設定してほしい」と依頼された場合についてです。
上記のサンクスページが無料会員登録時のもので、それとは別に有料会員登録もでき、そのサンクスページでは/normal_complete部分が/special_completeのようになったりします。
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- URL内の単語に不自然さを感じたら、Google Analyticsの「すべてのページ」レポート(行動>サイトコンテンツ>すべてのページ)から「thank」や「complete」といった言葉で調べて、別の種類のサンクスページがないか探す
ただし、自前で作ったフォームなどでは、「/thanks」「/thank」「/thankyou」「/thanks.html」など様々なバリエーションがあるかもしれませんので、気をつけましょう。
今後ページに別の種類が追加されることを想定していない問題
「example.com/lp/p001.html」「example.com/lp/p002.html」「example.com/lp/p003.html」にGTM計測タグを設定して欲しいなどと、依頼された場合などに発生します。
この場合には、以下のような考えが抜け落ちているかもしれません。
- 今後同様のプロモーションを展開すれば、「p004.html」「p005.html」といった新たなページが増えていくこと
- 新たなページが増えるたびに計測タグを追加していかなければならず、指示忘れの防止や増える工数に対するリソースのこと
トラブルを防ぐために確認すべきこと
今後同じようなページが増えることが明確な場合、指示されたURLをベースにしてページ増に対応できる設定を提案するとよいでしょう。
今回のようなケースでは、これらのことが想定されます。
- 「URLにexample.com/lp/を含む」と設定する
- 「URLにexample.com/lp/pを含む」と設定する
- 前もって、今後必要となる数字を想定の上、それに対応できる正規表現を作る
【正規表現例】
example\.com\/lp\/p\d+[^/]*$
https://regexper.com/#example%5C.com%5C%2Flp%5C%2Fp%5Cd%2B%5B%5E%2F%5D*%24
ただし、「p002b.html」「p002b_ydn.html」といったイレギュラーなURLが知らないうちに増えることもありますので、正規表現の厳密さの程度はその都度判断してください。
タグマネージャーを設置し忘れたページがある問題
完全なイージーミスですが、常に起こり得ることだと思って対策していきましょう。
- GTMのプレビュー機能を利用し、プロモーションなどの対象ページを周回し、すべてのページでプレビューウィンドウが表示されるかを確認する。(GTMにログインできないスマートフォンであっても、「プレビューの共有」機能を使えばプレビュー可能)
- 使用しているコンテナIDがグローバルJavaScript変数の「google_tag_manager」内に存在するかを確かめる。
- タグマネージャーがすべてのページに設定されているか、クローリングなどを使い点検する
突然GTMのタグが消えることもありますので、監視ツールを導入するのがおすすめです。
パソコンとスマートフォンのどちらでアクセスしても同じURLなのだが読み込まれるHTMLが違っている場合、スマートフォン用のHTMLにGTMのタグが入っていないことがあるので気をつけましょう。
リターゲティングタグとコンバージョンタグの入れ違い問題
これも、単純ながらGTMでよくあるミスの一つです。
「tag_200123_1.txt」がコンバージョントラッキングタグ、「tag_200123_2.txt」がリマーケティングタグなのでそれぞれの設定をするように、と依頼があったとします。
【tag_200123_1.txt_コンバージョンタグ】
<script src="https://hoge.adservice.com/s/t_sg.js?sgid=123456"></script>
【tag_200123_2.txt_リマーケティングタグ】
<script src="https://hoge.adservice.com/s/t_cv.js?cvid=111111&amount=1&quantity=1"></script>
以下のような理由で起こりがちです。
- 依頼担当者がタグを発行した人と別の人で、両者のやり取りの間に入れ替わってしまった
- 前回依頼した際のデータを使おうとして間違ってしまった
トラブルを防ぐために確認すべきこと
計測タグに含まれている単語にはタグの種類を表しているものがありますので、念のため確認するクセをつけましょう。
タグの種類別の頻出単語
タグ種別 | 頻出する単語 |
---|---|
コンバージョンタグ・成果タグ | cv cnv conv conversion purchase currency quantity amount order action |
リターゲティングタグ・リマーケティングタグ・セグメントタグ | px pixel remark sg seg segment segmentation retargeting mark beacon |
計測タグの発火順序指定がされていない問題
以下の2つの計測タグの設定を依頼された場合を考えてみましょう。
【yss_retargeting】
<script async>
ytag({
"type":"yss_retargeting",
"config": {
"yahoo_ss_retargeting_id": "0000000000",
"yahoo_sstag_custom_params": {
}
}
});
</script>
【yahoo_site_general】
<script async src="https://s.yimg.jp/images/listing/tool/cv/ytag.js"></script>
<script>
window.yjDataLayer = window.yjDataLayer || [];
function ytag() { DataLayer.push(arguments); }
ytag({"type":"ycl_cookie"});
</script>
上記の計測タグには、本来発火順序が指定されていたはずです。
それにもかかわらず、上記のとおりに「yss_retargeting」「yahoo_site_general」の順で設定すると動作がうまくいきません。
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- 通常は「このタグは〇〇タグの後に設置してください」などの指示があるので、その指示内容をタグ発行者に送ってもらう。
- GTM計測タグの設置を頼まれた場合に、あまり見たことがない計測タグであれば、タグを発行しているサービスのヘルプページや設定マニュアルも送ってもらう。
- 「yahoo_site_general」にあるような、URLと思しき文字列が計測タグのコード内に含まれていなければ、別のタグと一組で両者に動作順序が決まっていないか確認する。
通常、計測タグは、タグを発行しているサービスのトラッキングサーバーに該当ページを閲覧している人の情報を送る仕様となっているため、情報を送る先のURLが必ず書き込まれています。
ですから、URLがない計測タグはそれだけでは動作できません。
作業ミスで計測タグが壊れてしまった問題
計測タグは様々な作業の途中で壊れてしまうことがよくあります。
以下に、その代表例を紹介します。
- Skypeなどのチャットを利用してタグをメッセージした
- WordやPDFにコードを書き込み受け渡しした
- 計測タグを送るのにスクリーンショットで送ったが、そのコードを書き写すのを間違えた
- コピーペーストをする際にミスをした
トラブルを防ぐために確認すべきこと
- エラーチェック機能があるエディタにコードを貼り付けて確認する
- 違和感のある空白などがないか、目で見たりカーソルを置いたりして確認する
- 計測タグの設置後にそのページに行き、エラーの有無や通信状況などを確認する
GTMでは、文法エラーがあるタグに関しては自動チェック機能により公開前に検出できますが、記号が消えている場合は検出されないことがあるので気をつけましょう。
【まとめ】失敗した…GTMよくあるミス|やるべき初期設定10選
GTMでよくあるミスは、依頼者と作業者それぞれの精通する範囲のズレによって起きてしまいます。
依頼者は、基本的にGTMに関して充分な知識を持っていないので、作業者が当然と思っていることも知らない可能性があります。
対して、作業者は依頼者のサイトの構造やプロモーションの全体像など、依頼者ほどには理解できていないものです。
このような得手不得手や認識のズレがあることを前提にして、お互いが相手の意図を汲み取って意思疎通をすることで、ミスの多くは防げるようになるのではないでしょうか。