Web広告業界全体でCookie(クッキー)を使えないように制限する方針が数年前から進んでていますが、つい先日、Googleも2年以内にChromeブラウザでの広告目的のCookie(クッキー)の使用を制限することを発表しました。
広告における第三者への提供を規制する改定となり、インターネット利用者の、広告ターゲティングやトラッキング規制、プロファイリング、などに対する規制強化になり、Webのマーケティングを行ってる企業やそれに携わる人たちは今後、どうなっていくのか?が大事なポイントとなります。
そしてはFacebook、Instagramでも2022年を目安にサードパーティークッキーが使えなくなるということが決まってます。
そこで大事なのは、Cookie(クッキー)が使用できなくなくことでどういったリスクが起こるか? また、それを解決する方法について解説いたします。
Cookie(クッキー)とは
そもそもCookie(クッキー)とはいかなるものなのかを先ずは説明します。
クッキーとは、Webサイトにアクセスしたときに、それを閲覧したPCやスマートフォンに一時的に保存される(正確に言えばWebブラウザに保存される)情報です。訪問日時や回数などの情報が記録されます(「クッキーのかけらのような小さいファイル」から由来した言葉です)。
Cookie(クッキー)はただ単にターゲティング広告に使用されるだけでなく、ショッピングサイトのカート、ログイン状態の保持にも適用されている。Cookie(クッキー)がなければ毎回ログインしなければいけないし、カートにいれた商品も一度ブラウザを閉じるとカートから消えてしまう。
Web全体で言うCookie(クッキー)とは、ユーザーにとって便利なものでもあるのは確かなのです!
また、Cookie(クッキー)にも種類があり、Webブラウザで表示中のページ(ドメイン)と同じサーバー上で送受信された(トラッキングされた)情報をファーストパーティーCookie(クッキー)と呼ぶのに対し、ドメインを横断してトラッキングした情報をサードパーティーCookie(クッキー)と呼びます。
今回、議題になってるのがこのサードパーティーCookie’(クッキー)の取り扱いについてが議題となってます。
例えば広告手法の一つであるリターゲティング広告は、サードパーティーCookie(クッキー)を使うことでドメインを横断してトラッキングすることでユーザーを判別し、ユーザーに適すると考えられる広告(例えばそのユーザーが過去に閲覧したWebサイトのバナー)を表示させる仕組みとなっています。
Googleのサードパーティークッキー
昨今ではネット上の個人情報を保護しようという意見が高まり、EUでは「GDPR(一般データ保護規則)」という規則がすでに施行されています。
Googleは自社のサービスにてサードパーティークッキーを使ってはいますが、これを受けて、今後2年以内にChromeブラウザでの広告目的のクッキーの使用を制限することを発表しました
※ 参考:グーグル、2年以内に広告目的のクッキー利用制限へ
https://jp.reuters.com/article/alphabet-google-privacy-idJPKBN1ZD2UJ
Google広告での影響は?
広告目的のサードパーティーCookie(クッキー)の使用を制限するということは、Google広告も使えなくなってしまうのでしょうか?
そう考えられるかもしれませんが、結論を言えばGoogle広告における広告主側にはほぼ影響はない、今まで通りに使うことが出来ると想定されます。
その理由は、Google広告が利用しているユーザーデータのほとんどはGoogleが保有しているファーストパーティーCookie(クッキー)だからです。
例えばリスティング広告(検索クエリに対して広告が表示される広告)は、過去の検索クエリも含め、ユーザーがChromeブラウザを利用する際のCookie(クッキー)はファーストパーティーCookie(クッキー)であるからです。
また、アクセス解析ツールであるGoogleアナリティクスに渡されるデータも、広告主の所有物、つまりファーストパーティーCookie(クッキー)でもあるのです。
よって、リマーケティングを含めてGoogle広告が使えなくなるということはなく、影響もほとんどないと考えられます。
サードパーティーCookie(クッキー)規制によって、アクセス解析ツールを導入しなければならない理由は
『【Cookieレス時代】広告の効果解析を管理画面とアクセス解析ツールの双方から行うべき理由とは』の記事で詳しく解説しています。
Cookie(クッキー)の何が問題あるのか?
Cookie(クッキー)の利用をしてても、ユーザーを特定することはできません。では、どこに問題があるのか?
Cookie(クッキー)の利用によって、ユーザーが検索した内容などがユーザーの許可なく、漏れてることがプライバシーの侵害にあたるからです。
例えば、こんな経験ありませんか?
スマホで引っ越しのことを調べていて、A社の広告をみる。その後、ヤフーニュースなどの別のサイトを開いたときに、A社の広告やA社ではないB者などの引っ越し系の広告が表示されるようなっている
この情報がサードパーティーCookie(クッキー)を介して、広告会社にもれてしまうケースがプライバシーに当たるとして、法改正が導入されたのです。
引っ越しの広告ならリマーケティング広告が表示されても問題ないよ!と言わる方もいると思いますが、これが自分のコンプレックス系の悩みや病気のことなどを検索してたりして、広告の表示がされたりすると、プライバシーの侵害にもなってくるのです。
日本の個人情報保護法では、就活サイト問題の件もあり、令和2年6月5日に国会で成立いたしました。これによってサードパーティーCookie(クッキー)の利用制限がかかるのです。
※就活サイト問題
内定辞退をする対象学生のサイト閲覧情報を企業へと販売していたという問題です。これは一部の学生らから同意を得ておらず、問題となりました。
自社で対応しなければいけないこと
・Cookie(クッキー)の利用目的の開示
・ユーザーへのオプトアウトページの表示(ユーザーが行動ターゲティングを自分で無効にできる)
・個人情報保護委員会への届け出
Cookie(クッキー)利用目的やオプトアウトはページの作成をして、ユーザーに表示させていくようにしましょう。
このようなページが必要になってきます。
Cookieポリシー | 楽天株式会社
https://grp12.ias.rakuten.co.jp/optout/
※オプトアウトとは最初は設定がONになってるが、ユーザーの意思でOFFにできる機能のこと
Facebook広告やInstagram広告における影響は?
Google広告は影響が少ないと思われますが、FacebookやInstagramはどうなのか?
実はFacebookピクセルはファーストパーティーCookie(クッキー)とサードパーティーCookie(クッキー)の両方を使っている広告サービスです(以前はサードパーティーCookie(クッキー)のみが使われていました)
以下、Facebookヘルプセンターから引用です
Facebookピクセルでは、ファーストパーティとサードパーティの両方のCookie(クッキー)を使用できます。ファーストパーティとサードパーティのCookieの違いはその所有者にあります。
・ファーストパーティCookie
→利用者が現在閲覧しているウェブサイトが所有してる。
・サードパーティCookie
→それ以外のウェブサイトが所有しています。ファーストパーティCookieは、サードパーティCookieに比べて、使用が許可されているブラウザーの種類が多く、保存される期間も長くなっています。広告の成果をよりきめ細かくコントロールするため、Facebookピクセルでは次のCookieオプションを使用できます。
Facebookピクセルでファーストパーティとサードパーティの両方のCookieを使用デフォルトのオプションです。ほとんどのサイトで、これが現在のFacebookピクセル設定になっていると思われます。このオプションでは、サードパーティCookieのデータだけでなく、ファーストパーティCookieのデータもFacebookピクセルで使用されます。ファーストパーティとサードパーティの両方のCookieを使用することにより、Facebook上でリーチする顧客を増やし、測定やレポートの正確性を高めることができます。
FacebookピクセルでサードパーティCookieのみを使用
ファーストパーティCookieを無効にして、サードパーティCookieのみをFacebookピクセルで使用します。このオプションを選択すると、Facebookピクセルを使用してFacebook上で効率的に顧客にリーチすることが難しくなり、測定とレポートの正確性も低下します。
※Facebookヘルプセンター出典
https://www.facebook.com/business/help/471978536642445?id=1205376682832142
広告を配信する上では、精度を高めるためにもファーストパーティーCookie(クッキー)とサードパーティーCookie(クッキー)の両方を使うことが望ましいと言えます。
しかし前述の通り、EUにおける「GDPR(一般データ保護規則)」という規則や、個人情報を保護しようという観点からサードパーティークッキーの使用は敬遠され、Google同様にFacebookも独自のデータ、即ちファーストパーティーCookie(クッキー)への対応に向かってます。
このままサードパーティーCookie(クッキー)が使えなくなっても、ファーストパーティーCookie(クッキー)が使われているのでFacebookやInstagram広告でも配信は問題なくできます。
しかし、サードパーティーCookie(クッキー)の影響は少なからずあり、以前のような成果は出せなくなる可能性が高いと思われます。
では我々はどういう対応をとればいいのか?
ここから大切なのはSNS広告を中心としたマーケティング戦略を行ってる企業や代理店は対策をしていかなければいけません。
2020年度中には下記を行っていきましょう
Conversion API(コンバージョンAPI)の設定
Conversion API(コンバージョンAPI)とは、サーバー間のダイレクトデータ連携をすることによって、ユーザーのセキュリティを向上させ、尚且つブラウザ(chromeやsafari)に依存しないので、Cookie(クッキー)の影響も少ない。また、正確で多くのデータを広告に活用することができる設定方法です。
Conversion API(コンバージョンAPI)の設定方法は『【初心者向け】コンバージョンAPIの概要と導入必須の理由を分かりやすく解説』の記事で詳しく解説しています。
APオフラインコンバージョンイベントなども計測可能(利用者が広告で実行したアクション)をFacebookに直接送信することができます。
オフラインコンバージョンAPIを利用するには、以下の公式ヘルプに従ってください。
※ 参考:オフラインコンバージョンAPIについて
https://www.facebook.com/business/help/104039186799009?id=565900110447546
SNSの広告配信、運用を継続していくために以上のように、今後はサードパーティークッキーの制限が進み、広告の配信が今までの様には行かないことが予想されてきます。
今後、FacebookやInstagramはすべてアプリ内で完結するようにしていくと予想してます。InstagramがInstagram内でショッピングできるように、今後はブラウザへ依存をなくしてくると思います。
サードパーティークッキーが使えなくなることでどういったリスクが起こるかをこの記事で踏まえ、自社では今後の広告配信、運用をどう行っていくかを策定していきましょう。
今後、Facebook広告、Instagram広告を行っていく場合はコンバージョンAPIを設定すること。
こちらを忘れずに対応していきましょう。
サードパーティークッキーが使えなくなりFacebook広告の効果が低下を懸念している方は下記の記事も合わせてご覧ください。